「夜よさよなら」
『作品内容』
タブロは日本人の父とメキシコ人の母のハーフ。
馬で遠乗りした際に崖から落ちて、そのまま足をくじいて動けなくなってしまった。
喉が渇く彼を助けたのはサボテンだった。
夜になると話しかけてくるそのサボテンに彼は「ノーチェス(夜)」と名をつけた。
そして5日経って彼の体はもう限界に近づいていた。
夢の中でサボテンは女性の姿になってタブロに自分の体の水分を与えつづけていた。
ようやく助けが来たとき、おぼろな意識の中で彼は近くに生えているサボテンをもって帰るように救出してくれた人々に頼む。
商社の支店長をしている父の元に帰国の話が来て、タブロもそれを機会に日本の学校へはいることになる。
サボテンを持って行くことがかなわないことがわかった彼は母親にその世話を頼むのだった。
飛行機の中で彼はお茶の水という植物学者からサボテンには知性があるのだという話を聞く。
そして日本の学校ではいじめられつづけ、父親を訪ねると彼は窓際族となっていた。
荒れるタブロの耳にノーチェスの声が聞こえてくる。
彼女ははるか遠いメキシコから自分の分身をここまで運んだのだ。
ある時は国境を越える人の鞄に、そしてアメリカ水兵のジム・ブラウン(力有武)等を経て。
元気付けられたのも束の間、ノーチェスが植わっている土地はマンションが建つために開発を余儀なくされてしまう。
それから3年、高校に入ったタブロはまだ日本でがんばっていた。
ノーチェスが再び彼のもとにやってくる日を信じて…。
アメリカ水兵でヘック・ベン、
タブロの担任教師でランプが出演。
<参考文献:講談社全集>
『図版使用書籍』
手塚治虫の軌跡(1992年)
手塚治虫マンガ大全(1997年)
手塚治虫博物館(1998年)
ダ・ヴィンチ2008年7月号(2008年)