「オヤヂの宝島」
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タイトル |
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戦中 |
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習作 |
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2009年03月04日 |
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完全復刻版「新宝島」豪華限定版 |
小学館 |
B6判 |
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2012年05月 |
手塚治虫文庫全集196 |
手塚治虫漫画全集未収録作品集(3) |
講談社 |
文庫判 |
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『作品内容』
モンスーンに見舞われた客船。
脱出のためのボートに居合わせたのはヒゲオヤジ,一銭ハゲ,老人と蕃波だった。
荒城月男と星子のカップルが来ていないのを捜しに船に戻るヒゲオヤジ。
ヒゲオヤジは一匹の犬を連れて戻ってくる。
その間にボートに乗ろうと乗り込んできた権太(ボアール)。
荒城と星子は戻ってくるが…。
(原稿紛失)
舳先に残された権太をかわいそうに思う星子は乗せてあげようと言う。
(原稿紛失)
ボートでは老人が具合を悪くしていた。
彼はその命が尽きようとしていたが,小さいころに外国船の船長から手に入れた宝の地図のことを乗り合わせたものたちに話し出す。
父親がオランダ語から翻訳した文書を見せるがそれも暗号化しており,さらに地図は半分しかなかった。
外国船の中の船長と副船長が半分ずつ持っていたのだと言って息を引き取る。
(原稿紛失)
ボートは巨船のようなものに激突して沈没してしまう。
<ハワイの嵐>
"第2章:スプレックルスウィルの酒場"
スプレックルスウィルの酒場に現れた博士と坊主。
彼らは難破船の生き残りだった。
持ち合わせがあるのか疑った店の主人(ハム・エッグ)は博士から船においてきてしまったという一匹の犬の話を聞く。
海岸でその犬を見たと言う男の話を聞いた博士は坊主を置いて一目散に出て行ってしまう。
身包みはがされた坊主はハイビスカス・シトロンと名乗る船商の娘に助けられる。
そんな中,酒場に運び込まれたのは主人の義理の弟クユ(一銭ハゲ)だった。
クユは主人と同じ海賊の仲間だった。
そしてあの外国船の副船長だった首領から指示されて日本へ船長の持つ大事なものの行方を探りに行っていたのだ。
クユはそれがあの地図のこととはわかっていたが老人の約束どおり兄には話をしようとはしない。
だいぶ回復した彼は兄と酒場に行き,しこたま飲んだ挙句にすべて話してしまう。
兄はボートに乗り合わせた残りの4人を始末して首領にも話さずにすべてを山分けしようと話し出す。
"第3章:吸血サム"
月男と星子を見つけた一銭ハゲは兄貴に伝え,兄貴は悪党を引き連れて二人を探しに出る。
二人は日本人村を目指すが,悪党たちに囲まれる。
月男は奮闘するが殺されてしまう。
星子は逃げるうちに気を失ってしまい,悪魔の使者と名乗るものに復讐するように言われる。
しかし悲観した星子は崖から身を投げようとするが,これもハワイに流れ着いていた蕃波によって引き止められる。
番場は兄貴の銃で殺されてしまうが,星子はまたなぜか彼らに見つからずに生き延びる。
そして復讐を誓う。
"第4章:惨殺死体"
ハワイ警察のノータリン捜査課長の下にホームズ探偵とガニマール刑事が訪ねてくる。
課長のところにはアルセーヌ・ルパンがハワイに来ていることと惨殺死体が見つかったことが報告されていた。
"第5章:暗黒街"
酒場で権太が暴れていた。
ホームズとガニマール,もう一人の刑事は惨殺死体の見つかった現場に来ていた。
ホームズは商店のおばあさんから事件当時の内容を聞き出すことに成功する。
すると刑事は大笑いをして去っていった。
彼こそがルパンだった。
"第6章:謀は密なるを以って宣とする"
首領と謀議をするサム。
廃船の中でやっていたが,そこにある宝の地図を突然奪われてしまう。
それはヒゲオヤヂだった。
ピストルで脅された二人は沈没ボートの生き残りがまだ一人いると言ってある小屋にヒゲオヤヂを連れて行く。
小屋の中にいたのは一銭ハゲ。
サムと首領は二人を小屋に閉じ込める。
"第7章:火焙"
小屋に石油をかけて火をつけるサム。
爆発を起こすがヒゲオヤヂは九死に一生を得る。
しかし,サムとその部下によって捕らえられてしまう。
一方ホームズとガニマールはサムの酒場にいた。
サムは別のテーブルで船を20席も持つシトロンと言う男と話していた。
"第 章:地下の囚人"
サムと首領はヒゲオヤヂの始末について話をしていた。
そしてある男を呼ぶ。
地下室のヒゲオヤヂは腕を縛られていたが,食事を持ってきた男を見て驚く。
彼は権太だった。
ヒゲオヤヂはボートに乗せなかったことで恨みを持っているのでないかと思い観念するが,権太は逆にヒゲオヤヂの縄を解き宝の地図のありかを教える。
しかしそれは首領とサムの策略だった。
"裏の裏の裏"
逃げる前の腹ごしらえをしていたヒゲオヤヂの前に現れたのは言葉をしゃべる犬だった。
彼が言うには権太の行動は海賊の謀だとのこと。
二人で首領の部屋に忍び込むがそこに寝ていた首領は人形だった。
そして教えてくれたところにある地図は偽者であり,本物は犬君の言うとおりベッドの下にあった。
部屋にしのんでいた手下はヒゲオヤヂによって熨されてしまう。
犬君を連れていることに気づいた二人は部屋に行き,手下がやられているのを発見する。
しかし,ヒゲオヤヂが置いていった偽者の地図がベッドの下にあったがそれは本物であると勘違いをする。
彼らの狙いはヒゲオヤヂに偽者の地図をつかませ,そちらにアルセーヌ・ルパンの気を引かせその間に宝を手に入れることにあった。
ミッツンが船の乗客で出演。
<参考文献:完全復刻版 新寶島>
『一口メモ』
手塚先生の日記によると約1,000ページあったらしいのですが現存するのは300ページ足らずです。
ちょっと大人向けですが内容的には新宝島よりもずっと面白くなりそうな気配がいっぱいでした。
ルパンは誰なのか,星子はどうなるのか,犬君はどうやって生まれたのか,などなどいっぱい謎を残しています。
『図版使用書籍』
手塚治虫 漫画の奥義(1992年)
講談社全集「漫画の奥義」(1997年)
手塚治虫展図録(2017年)
手塚治虫語辞典(2023年)