「0次元の丘」
『作品内容』
利男は「トゥオネラの白鳥」を聞くたびに涙していた。
さらに白い壁の家と枯れた木が心に浮かぶという。
母親に昔住んでいた家の事を聞いてもそんな風景はないという。
自分がこの家の子ではないと思った利男は家出を図る。
すぐに兄に見つけられるのだが、不安は去らない。
しかも同じ「トゥオネラの白鳥」でもベルヌ(山浦博士)の指揮したもの意外には彼は反応しないのだ。
先生に相談すると、世界中で利男と同じ年の子ども5人が同じ事を言っているという。
ある時脳波計を付けて調査をすると、利男は別人格になりベトナムのリエンタ村が自分の家だと言い出す。
兄らはユネスコを動かし、5人の子どもをリエンタ村に連れて行く事に成功する。
同時に指揮者ベルヌも同行する事になった。
ベルヌによると彼は「トゥオネラの白鳥」がどうしてもうまく指揮できず、一度自殺を図ったという。
その時意識下である丘にたどり着き、そこから落ちないようにして蘇生したのだった。
その後に指揮したレコードに利男たちは過剰反応していたのだった。
彼らが村に着くと確かに白い壁と枯れた木があった。
不意に子供たちは銃を奪い、立てこもってしまう。
彼らはここで虐殺された村人の輪廻の姿だったのだ。
何とか元に戻すため、近くによって銃を空に向かって連射した。
前の時代で殺された場面を再現したのだ。
彼らは元に戻った。
前の記憶は全くないという。
残っているのは丘のようなものだけだった。
他の子どもの親の顔でヒョウタンツギ(p.88)が出演。
<参考文献:講談社全集>
『図版使用書籍』
手塚治虫全百科(1981年)
手塚治虫の軌跡(1992年)
こころにアトム(1995年)
手塚治虫大全(1997年)
手塚治虫全史(1998年)
僕らが愛した手塚治虫<推進編>(2018年)
サンエイムック「どろろ」「三つ目がとおる」大解剖(2019年)