「時計仕掛けのりんご」
『作品内容』
天竜川の近くにある稲武市。
キャンベラ時計の工場が出来たために新興工業都市として発展を続けていた。
白川雄作は女房と二人暮らしをしていて、彼女の好みで三度三度パン食だった。
ある朝、テレビ・ラジオが受信できなくなり、新聞は朝毎だけ届く。
聞くところによると鉄橋が倒壊してしまったのだという。
その日の昼、白川は会社の秋吉ミチが倒れてしまったので家まで送り届ける。
途中で交通止めになっている道路を走りつづけて鉄橋が無事に立っているのを確認する。
秋吉が米の味が変だ、といったのを思い出して彼は隣の薬屋に分析を依頼する。
すると何と米の中には脳の働きを鈍らせる「ビューロマイシン」という劇薬が入っていることが明らかになる。
次の日、その薬屋は行方不明になってしまう。
山に登った白川は自衛隊によって身柄を拘束される。
その先で彼は2.26事件さながらのクーデターを企てる将校達に会う。
しかし彼らは秋吉と白川の不倫現場を抑えており、口止めを余儀なくされてしまう。
街に戻った白川は妻の幸子に一部始終を話し、養殖場の鯉の体にSOSを書いて流そうと相談する。
夜二人は二百匹もの鯉の体にコールタールでメッセージを書き込む。
次の日、町の住民は一箇所に集められる。
そこにはあの将校がいた。
首都占拠のための実験にこの町を使ったのだと言い、住民達を人質に取るという。
塔に登ったその将校は天気の変わった後、雷に撃たれて果てる。
彼らの目的がなんであったのかは定かではない。
<参考文献:講談社全集>
『関連小説』
アンソニー・バージェス作「時計仕掛けのオレンジ」
『関連映画』
1971年
「
A clockwork orange(邦題:時計仕掛けのオレンジ)」
(監督:スタンリー・キューブリック,主演:マルコム・マクドウェル)
ニューヨーク映画批評家協会賞:最優秀作品賞・監督賞受賞
『図版使用書籍』
手塚治虫の軌跡(1992年)
こころにアトム(1995年)
手塚治虫大全(1997年)
手塚治虫全史(1998年)
僕らの愛した手塚治虫2(2008年)
扉絵原画コレクション1950-1970(2017年)