「大暴走」
『作品内容』
海外特派員として活躍している火水木は原子力船おさかべ丸への試乗を明日に控え、電子頭脳を開発した刑部博士を訪ねる。
実は博士は火水木の婚約者恵子の父親であったが、恵子とはもう5ヶ月も連絡を取っていなかった。
博士によると恵子は交通事故に遭い面会謝絶状態だという。
おさかべ丸は乗務員が10人で済むというロボットタンカーである。
北岡船長(ムッシュー・アンペア)の命令で電子頭脳が判断し動く仕組みになっていた。
乗船していた船の持ち主である山下海運の社長の息子である護(ロック)は船を爆破しようとする。
彼は父親がこの船を使ってバグダッド石油と手を結び、死の商人のような事をするのがたまらなかったのだ。
そんな中バグダッド石油の社長(レッド公)は副社長のランプによって殺害される。
そのランプは船によって命を落としてしまう。
その上、おさかべ丸の電子頭脳は突然言う事を聞かなくなり、乗客をすべて軟禁状態においてしまう。
爆弾を持った護は船に殺され、逃げようとする乗客もその多くが死んでしまう。
船はスピードを上げ、近づく船には魚雷を、ヘリコプターには重油をかけ爆発させてしまう。
しかし、刑部博士と火水木そして博士と共同開発に携わったロットバルトだけは外に出る事を許される。
博士達は船の中枢部に行き、火水木に重大な事を告げる。
実は恵子は既にこの世になく、その脳髄をこの船の頭脳として使っていたのだ。
船が暴走したのもそのような人間的な行動であった。
博士とロットバルトは神に対する冒涜行為から、自ら命を絶つ。
船は火水木を除いた人間をすべて解放する事を発表する。
全員が船を出たと思ったその時彼の前に現れたのは博士の元助手であった氷岡だった。
彼もまた恵子を愛しており、火水木を消そうと考えていたのだ。
しかし、逆に氷岡は火水木に殺される。
おさかべ号と火水木の行方はそれ以来分かっていない。
船の乗客でヒョウタンツギ(p.159)、
アフィル(p.159)、
天下太平(p.169)が出演。
<参考文献:汐文社版タイガーブックス1>
『図版使用書籍』
手塚治虫全百科(1981年)
コミックボックス5月号(1989年)
手塚治虫の軌跡(1992年)
こころにアトム(1995年)
手塚治虫大全(1997年)
手塚治虫キャラクター図鑑1(1998年)
手塚治虫全史(1998年)
ダ・ヴィンチ8月号(1998年)
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手塚治虫キャラクター名鑑(2024年)