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「アポロの歌」

発行日 種類 タイトル 発行所 判型 備考
1970年04月10日号〜11月06日号 - 週刊少年キング 少年画報社 B5判 連載 -
1971年09月15日 COM別冊 アポロの歌(上) 虫プロ商事 B5判 - -
1971年10月15日 COM別冊 アポロの歌(下) 虫プロ商事 B5判 - -
1973年07月01日 COM名作コミックス アポロの歌 虫プロ商事 A5判 - -
1977年08月18日 手塚治虫漫画全集35巻 アポロの歌1 講談社 B6判 -
1977年10月20日 手塚治虫漫画全集36巻 アポロの歌2 講談社 B6判 -
1977年11月20日 手塚治虫漫画全集37巻 アポロの歌3 講談社 B6判 -
1995年09月 集英社文庫 アポロの歌1 集英社 文庫判 -
1995年09月 集英社文庫 アポロの歌2 集英社 文庫判 -
2010年11月 手塚治虫文庫全集096 アポロの歌 講談社 文庫判 -
2019年04月19日 - アポロの歌[オリジナル版] 立東舎 B5判 -

『作品内容』
<序章>神々の統合
精神病院で電気療法を受ける近石昭吾。 目が覚めたとき,彼はギリシアの神殿のような建物の中にいた。 そこで昭吾は彼自身の過去について語る。 母親の愛情を知らない少年時代。 入れ替わり立ち代り母に会いに来る多数の父親た
ち(丸首ブーンら)。 そんな彼はいつしか愛し合う男女,オスメスの姿を憎むようになっていった。

<第1章>デイ・ブルーメン・ウント・ダス・ライヘ(花と死体)
昭吾はそこではナチス兵としてユダヤ人を護送していた。 昭吾はその中のある少女が気になって仕方がない。 そんな時連合軍の爆撃があり,そのドサクサの中昭吾は少女に逃げるように言う。 彼女の名は「エリーゼ」といった。 爆撃の中を逃げ切った昭吾はエリーゼと再会するが彼女はナチスである昭吾を銃で撃ってしまう。 力尽きた昭吾を見つめ,立ち去ろうとしたエリーゼの前に獲物を見つけたナチス兵が立ちふさがった。 エリーゼは暴行を加えようとする彼らに反抗し,結局撃たれてしまう。 そんなナチス兵を討ち果たす昭吾。 二人は遠ざかる意識の中で結婚する。

目を覚ます昭吾。 たった5,6秒の中で彼が体験したことはいったいなんだったのか?。 医師に食って掛かる昭吾だったが,再び催眠術の中で眠り込む。

<第2章>人間番外地
昭吾は小型飛行機のパイロットとなり,女性カメラマンのナオミを乗せていた。 彼女は昭吾に無理な運転を指示し,その挙句には右翼を傷つけてしまい,ある無人島にたどり着く。 そこでは動物たちが共存共栄しており,彼らも動物に手を出さない限り平穏な生活が約束されていた。 ナオミの怪我を治療しているうちに二人は愛し合うようになる。 あるとき島の近くを船が通りかかり,二人に救出の手が伸びる。 しかし,ナオミはアメリカ留学の資金を出してくれている社長,それから婚約者をすでに裏切っていた。 さらに島に来た船員たちは下世話であり,動物たちを銃で殺戮する。 昭吾がそれを遮ろうとしたとき,銃口はナオミに向かう。 島は怒りをあらわにし,火山は噴火を始める。

目を覚ます昭吾。 その前には先ほどの医師が居,昭吾の見た夢は彼の話しかけた催眠術だと語る。 昭吾は怒りを覚えるが何とか抑え,医師の歩くままについていき他の精神病患者病室を見る。 最後に庭に出た昭吾は色情狂の女に言い寄られ彼女を殺害して逃亡する。 下田警部らは昭吾を殺人犯として追う。 逃げ回る昭吾はその先で女をもう一人殺害してしまう。 捕まる寸前で昭吾は渡ひろみ(メルモ)と名乗る女性に助けられる。 ひろみは昭吾を山の中の別荘に連れて行き,毎日氷が必要なため山まで取りに行くように要請する。 しかし,いくら早足でかけても別荘に戻ったときには氷はすべて溶けてしまって使い物にならない。 疲れ果てた昭吾はひろみが湖で水浴びをしているのを目撃する。

<第3章>コーチ
昭吾はそこでひろみがなぜ自分に無理な走りを強いたのかを知る。 ひろみは長距離走者になりたかった自分の夢を昭吾に託したのだった。 そんな彼女の思いを組んで昭吾は努力を始める。 そんな特訓の中ひろみの前にかつての婚約者が現れる。 彼はひろみに愛を誓いながら別の女性にも次々に手を出していた。 その山部は昭吾を崖に追い詰めて追い落としてしまう。 昭吾は夢の中に入り込む。 <第4章>女王シグマ

昭吾が目を覚ましたその場所は2030年の日本。 合成人を作った人間は逆にその合成人から支配されている世の中にいた。
昭吾はその反政府組織で女王暗殺を命じられたのだ。 人間の愛に興味を示す女王シグマは自分の命をねらう昭吾に愛を感じ始めていた。 別荘で昭吾に愛を語る女王の前に現れたのは首相ビビンバだった。 人間に愛を感じた女王はすでに合成人ではなく,女王でもないというビビンバ。 彼は二人を連行し,女王の頭を挿げ替え最も醜い顔にしてしまう。 女王とともにアジトに帰った昭吾を待ち受けていたのは女王を殺害しようとする仲間たちだった。 傷心の中,仲間とともに宮殿に向かった昭吾の前にはクローンとなっても昭吾を 愛そうとする女王だった。 その最後の女王は昭吾とともに自爆する。

<第5章>ふたりだけの丘
心中を図る男女。 彼女たちはわざと雷に打たれようとして金属の棒を持って山を歩いていた。 しかしその雷で命を落としたのは男のほうだけだった。 それを見つけた昭吾は男を沼の中に落とし,女のほうには男はいなかったと話す。 女の手当てをするひろみに昭吾は真実を話す。 怒りをあらわにするひろみだったが,その話を聞いていた女は外に出て行き, 男の捨てられた沼に自ら身を投げて心中を遂げる。 愛の形がわからず悩む昭吾。 そして実はひろみはかつていた精神病院の医師の知り合いの医者であることを知る。 ひろみを愛し,そしてひろみからも愛されていると感じていた昭吾は大いに失望し,自暴自棄になる。 崖から身を投げようとする昭吾を突き飛ばしひろみは逆に命を落とす。 心中した男女との関係から警察に追われた昭吾はガソリンに火をかけてひろみとともに命を散らした。

パン屋の顔でヒョウタンツギ(1巻,p.50),(2巻,p.77)が出演。

<参考文献:講談社全集>

『一口メモ』
「性教育漫画」として注目された。
「ふしぎなメルモ」のアニメ化の際のパイロットフィルムは「アポロの歌」のタイトルで創られたが本作とは別物。

『図版使用書籍』
手塚治虫全百科(1981年)
手塚治虫まんが大研究(1982年)
手塚治虫漫画40年(1984年)
手塚治虫の軌跡(1992年)
過去と未来のイメージ展図録(1995年)
こころにアトム(1995年)
月刊カドカワ9月号(1995年)
手塚治虫大全(1997年)
もっと知りたい手塚治虫(1997年)
手塚治虫博物館(1998年)
手塚治虫全史(1998年)
Comnavi Vol.10(1998年)
ある日の手塚治虫(1999年)
手塚治虫SF傑作集「時間旅行者編」(2002年)
SF Japan Vol.03 手塚治虫スペシャル(2002年)
手塚治虫記念館(第5刷)(2003年)
手塚治虫マガジン2(2003年)
原画の秘密(2006年)
ダ・ヴィンチ2008年7月号(2008年)
僕らの愛した手塚治虫2(2008年)
手塚治虫展図録(2009年)
手塚治虫美女画集(2014年)
手塚治虫の世界(2017年)
扉絵原画コレクション1950-1970(2017年)
わたしたちの手塚治虫(2018年)
僕らが愛した手塚治虫<推進編>(2018年)
手塚治虫語辞典(2023年)
手塚治虫キャラクター名鑑(2024年)