Google
WWW を検索 手塚治虫のすべてを検索



[1948年作品リストへ]

「月世界紳士」

発行日 種類 タイトル 発行所 判型 備考
1948年11月20日 - 月世界紳士 不二書房 B6判 描き下ろし単行本 -
2011年12月25日 - 初期名作完全復刻版BOX2 小学館クリエイティブ B6判ほか 復刻

『作品内容』
満月の晩,ある老夫婦(オッサンら)の畑にロケットが墜落した。 近くで逆光波天体望遠鏡の開発をしていた研究チーム(満月,三日月,ら)は現場に赴く。 確認に行った満月博士はピンポン玉のようなものを踏むと滑り落ちてしまった。 両足を溶かしてしまった博士だったが医師ら(山田野博士アフィルほか)によって命を取り留める。 ロケットをすっかり掘り出した跡で老夫婦はピンポン玉のようなものが割れて人間の赤ちゃんが出てくるのを見る。 彼らはそれを月からの授かりものだと思うのだった。

それから15年後

ケン一らも加わって逆光波天体望遠鏡は完成に近づいていた。 そんな夜道,力がなぞの怪人に襲われる。 ケン一の機転もあって助かるが何かガスをかがされたと言う。 技師を補うため,ケン一は少女発明家の小夜子に声をかける。 小夜子の家の前は彼女に会いたい記者たち(ランプ豚藻負児)でごった返していた。 彼女は四次元振動洞を使ってケン一と天文台へ向かう。 満月博士は彼女と話すと体調を崩してしまう。 不信感を抱いた博士は私立探偵のヒゲオヤジに相談を持ちかける。

家へ帰った小夜子を待っていたのは桃山子爵(カルピス),甘井男爵(ラムネ),最中男爵の三人だった。 彼らは小夜子を嫁にもらいたいと持ちかけてきた。 小夜子は三人に無理難題を持ちかけて帰らせる。 両親に小夜子は次の満月の晩にお別れだと告げる。 それを聞いた父親はなんとしても小夜子を嫁に出すために三人の下を尋ねてよくよく頼むのだった。 さらに警察(ボアールら)には満月の晩に厳戒態勢を引くように依頼をする。

そのころ甘井はアフリカの奥地で恐竜の卵を見つける。 しかしその恐竜に食べられそうになって案内をしてくれた村の酋長とともに大怪我を負う。 ひとつしかない秘薬で天井は助かるが酋長は命を落としてしまうのだった。 卵を抱えて酋長の息子と帰る途中で食料に困った二人はその卵を食べてしまう。

星型の真珠を探す桃山子爵。 怪しげな船乗り(ハム・エッグ)につれられて海の中へもぐるとそこには野球のグローブの周りが真珠になった星型の真珠があった。 100万円と言われてやめようとすると海の中で追いかけが始まってしまう。 桃山はうまく逃げて悪党たちを一網打尽にして海上へあがる。 しかし星型の真珠は偽物だとわかり,自分で作ることを決意する(でも10〜20年くらいかかる…)。

最中男爵は見たことも聞いたこともないものを持参して小夜子たちの前に現れる。 そこにあったのは小夜子が乗ってきたロケットだった。 しかし老父が小夜子はただの人間ではないと話すと男爵はその仮面をはずす。 その正体は満月から依頼されて捜査を進めていたヒゲオヤジだった。

その頃天文台には「あの」怪人が現れてロケットを爆破していた。 しかし望遠鏡だけは満月が小夜子から借りていた四次元振動洞を使って壊せないようにしてあった。 怪人に詰め寄られる満月はやはり体調を崩していく。 そして見た怪人の正体は…。

屋敷で小夜子を見張っていたヒゲオヤジはたんすからもう一人の小夜子が出てくるのを見る。 見張っていたのは小夜子のアンドロイドだったのだ。 そしてたんすの後からはケン一が出てくる。 そう,怪人の正体は小夜子であり四次元を通じてたんすと天文台をつなげていたのだ。 逃げる小夜子は部屋の中に入りケン一がその後を追う。 続いた警官たちはどうしても部屋に入れず,外ではロケットが飛び立つ。

<以下はケン一の回想録>
部屋の中はロケットの一部となっていてケン一は小夜子とともに月へ向かう。 死の世界と思われていた月だったがそれはそう思わせるために表側を荒らしていたのだった。 裏側はウサギに似た月世界人が高度文明を築いていた。 月世界紳士として月で暮らすことを命じられたケン一だったが同情してくれた月人の力でロケットに乗ることとなる。 そこには元の姿になり,地球での使命を果たせず罪人となった小夜子が乗っていた。 小夜子は地球人に月の裏側を見せないようにする使命を持って地球に送られていたのだった。 地球へ戻ろうと言うケン一にたいして小夜子は月の裏側の秘密は決して話さないでほしいと言ってロケットから飛び降りてしまう。

<参考文献:初期名作完全復刻版BOX2>

『一口メモ』


『リメイク』
新編 月世界紳士
(1951年:漫画少年)

『図版使用書籍』
手塚治虫全百科(1981年)
手塚治虫まんが大研究(1982年)
手塚治虫漫画40年(1984年)
毎日グラフ3月5日号(1989年)
手塚治虫の軌跡(1992年)
過去と未来のイメージ展図録(1995年)
こころにアトム(1995年)
手塚治虫大全(1997年)
フィギュア王 no.11(1998年)
手塚治虫全史(1998年)
手塚治虫の「新宝島」(2007年)
手塚治虫とキャラクターの世界(2013年)
僕らが愛した手塚治虫<復活編>(2016年)
手塚治虫ぴあ(2016年)
手塚治虫表紙絵集(2016年)
手塚治虫展図録(2017年)