「地球を呑む」
『作品内容』
<第一章>"プレリュード"
冷凍睡眠?する女性の周りに集まる7人の娘達。
彼女たちは世の中の男に対する復讐を改めて誓う。
<第二章>"テーマのためのプロローグ"
関少尉と安達原中尉の二人は脱走したアメリカ兵から「ゼフィルス」の写真を見せられて夢中になってしまう。
ゼフィルスとはある孤島の宮殿に住むこの世のものとは思えない美貌の女性だった。
<第三章>"モチーフ(1)"
昭和40年代、その日暮らしをする関の元に羽振りのいい安達原が訪ねてくる。
ホテル・オームラにあのゼフィルスが泊っているというのだ。
しかし、時代は流れている。
安達原は関の息子の五本松にホテルへ泊らせ、真相を調べさせようとする。
<第四章>"モチーフ(2)"
ゼフィルスはディラー大尉とロドリゲス伯爵を戦わせ、勝った伯爵に体を任せる。
ホテルに着いた五本松はゼフィルスの部屋に入る事に成功するが、それを見た伯爵に誤解され、決闘を言い渡される。
五本松は勝ち、伯爵は命を落す。
別の日に五本松はゼフィルスの部屋で彼女そっくりに作られたダッチワイフを見付ける。
伯爵達はいままで麻薬を飲まされた上にその人形を抱いていたのだ。
ホテルを出て行く五本松。
<第五章>"展開へのアプローチ"
人工皮膚「デルモイド・Z」を安達原化成に一切の権利を放棄して持ってきたモンテ・クリトスという人物。
彼自身も人工皮膚に覆われていた。
それの後をつけた安達原化成の社員の見た顔とは?。
<第六章>"ライト・モチーフ"
ゼフィルスの夫(ランプ)は彼女の父親の研究をナチに売り、ナチの研究機関へ行くようにいう。
自殺をして果てたゼフィルスの父親を見て彼女は7人の娘と共に家を出る。
そして1943年、父親の助手をしていたミス・クリトスと娘達に見守られながら、ガダルカナル島の近くの小島でゼフィルスは息を引き取った。
その遺言は「お金」「法律」「男」に復讐をしてくれというものだった。
<第七章>"展開(1)"
医師(シミ・アバータ)の診断を受ける安達原の元に五本松が訪れる。
もうゼフィルスを追いかけるのは嫌だというのだ。
安達原邸を辞した五本松は謎の車に追いかけられ、気がつくと飛行機の中にいた。
そして連れて行かれた先にはブリード財団の会長のブリードがいた。
彼もまたゼフィルスに魅せられた一人であり、五本松には自分の仕事を手伝うように依頼する。
さらに二人はゼフィルスのいるマムウ共和国に行き、ゼフィルスに会う。
しかし五本松は以前会った彼女とは別人のように感じるのだった。
<第八章>"展開(2)"
五本松は監禁され、島の遺跡の中で労働をさせられる事になる。
しかし彼はそこにあった酒を飲み干した後、監視のダンウィッチをやっつけて脱走する。
それを手引きしたのはゼフィルスの7人娘の一人ミルダだった。
彼女は東京で五本松に会って以来彼に恋をしてしまっていたのだ。
<第九章>"展開(3)"
ある島に辿り着いた五本松はそこで暮らす人達の中に入っていく。
彼らはムーの末裔であり、一切貨幣を使わずに交換経済を成り立たせていた。
ある嵐の夜、ダンウィッチが五本松を追って島にやってきた。
戦いの末、ダンウィッチは命を落すが、その間際に彼は言った。
近いうちにブリードは消される。
代わりに人工皮膚をかぶった偽者がその椅子に座る、と。
急ぎ五本松は島を後にするのだった。
<第十章>"アレグロ・ウン・ポコ・ソステヌート"
ブリードに会った五本松はそのよそよそしさを疑問に思う。
刺客に襲われる彼はその太平楽な行動で我が身を守る。
街に出た五本松はロス警察のマリガン警部(ノタアリン)からブリードのSOSの手紙を見せられネバダの工場に向かう。
そこには一面見渡すかぎりの金塊があり、二人はゼフィルスの部下(ヘック・ベン等)に銃を突き付けられ、ブリードの監禁されている部屋へ向かう。
彼は毒の入った食事を続け、息も絶え絶えになっていたが安達原の会社が作っている人工皮膚の生産を止めさせるように五本松に頼んで命を絶つ。
<第十一章>"バリエーションへのアプローチ"
安達原化成の売り出した人工皮膚は顔を自由に変えられるとあって女性を中心に大ヒットしていた。
<第十二章>"スケルツオ"
人工皮膚「デルモイド・Z」が売り出されたために、男が女に、そして女も男に簡単に化ける事が可能になったために起ったある悲劇。
人工皮膚で手塚先生が、警察で下田警部が出演。
<第十三章>"アダジオ・モデラート"
デルモイド・Zを用いた犯罪が多発するアメリカでは大統領が使用を禁止した。
殺し屋のチャーリーは久しぶりに我が家に帰るが、そこにいた家族は皆人工皮膚をかぶった偽者だった。
しかし、彼らはお互いに赤の他人だったにもかかわらず以前のチャーリーの一家よりも家族らしく暮らしていた。
チャーリーは仲間を引き連れて彼らを追い出しにかかるが、そこに泊っていた五本松によってやられてしまう。
しばらくしてFBI(レッド公等)が一家を訪ねて逮捕にかかる。
彼らはお互いの顔を見ない方がいいだろうと、父親(メイスン)は一人ずつ出て行こうと提案する。
そして家に残ったのは彼らのデルモイドZをかぶったマネキン達だった。
<第十四章>"バルス・ラプソディク"
父親の残した石油井戸を掘りつづけるヘンリー・オネガー。
ある時ボーリングの先から水が湧き出たが、その中には砂金が混じっていた。
彼は一躍幸福の絶頂にあがるが、金を求めて多くの人が来る中銃で守りつづける。
しかし、その金はゼフィルスが川床に隠したものが地下水脈を通じて湧いたものだった。
リーザ・ゼフィルスはヘンリーを訪ねる。
そしてなぜか彼女は彼に心動かされる。
ヘンリーを狙うものたちに二人は撃たれ果てる。
<第十五章>"インテルメッツオ"
マムウ共和国でミルダは裏切り者として地下に閉じ込められてしまった。
安達原に五本松を返すように詰め寄る関市松。
そこへひょっこりと帰ってきた五本松。
後をつけたモンテ・クリトスは五本松に胸焦がれてしまう。
ヒョウタンツギ出演。
<第十六章>"フーガ"
ミス・クリトスはモンテ・クリトスのデルモイドをかぶって五本松に近づく。
そこへ現れたのがマムウ島を脱出したミルダだった。
クリトスは銃を向けるが五本松はミルダをかばい、クリトスは海に落ちる。
思わず彼女を助けるために海へ飛び込む五本松。
五本松の担ぐ荷の中身でヒョウタンツギが出演。
<第十七章>"メヌエット"
エール市立病院の医師・マナベ(オクチン)は患者のジャネットを愛してしまっていた。
彼女は精神的な失語症にかかっており、その原因は分かっていなかった。
彼はとうとう、彼女の脳と自分の脳をつなぐ危険な治療法に踏み切る。
そして不安を取り除かれたジャネットはその過去の記憶を呼び戻された事から自殺を図る。
しかし、マナベの中には既にジャネットの心が入りこんでいた。
そんな彼は精神病棟へ入れられてしまう。
<第十八章>"ポロネーズ・メランコリーク"
日本には戒厳令が敷かれ、野末陸佐は議会を押え代行指揮官になった。
今後金塊を拾ったものは区別なく殺すと言い張る。
彼は安達原が芸者に産ませた子供だった。
彼は五本松を捕まえ、ミルダの事を聞き出そうとするが彼は一向に口を割らない。
そのことを知ったミルダはミス・クリトスと組み再度ゼフィルスの仮面をかぶる。
そして野末を手中に収め、五本松を釈放させる。
野末は自分の抱いていた女がゼフィルスの仮面をかぶった人形だと知るとミルダに銃を向けるが、クリトスによって逆に命を落す。
逃げるミルダと五本松は追われる身となるが、クリトスが野末の仮面をかぶって二人を逃がす事に成功する。
しかし、彼女は道に落ちていた金に触った事で殺されてしまう。
ミルダと五本松は日本の果てのような農村にたどり着き、そこで暮らす決心をする。
<第十九章>"プレスト・パセテーク"
荒廃した世界で五本松とミルダは幸せに暮らし、とうとうある教会で結婚式を挙げる。
しかし、そこを出たところでミルダの姉達が待ち受け、ミルダを連れ去る。
五本松は彼らを追いかけ空港にあった飛行機に乗りこむ。
が、その中には誰も乗っておらず、爆弾のみがあった。
共に爆発する五本松。
悲しみに暮れるミルダ。
<第二十章>"コーダ"
あれから二十年。
ミルダは五本松の子供を産み六本松と名づけた。
彼は父親そっくりであり、大酒飲みだった。
航海から帰ってきた六本松をミルダの姉達が狙う。
ミルダは彼をかばって命を落す。
そして六本松は彼女たちを地下牢に落す事に成功し、島中に爆弾を仕掛けて自らは船を駆り、その最期を見届ける。
船員でハム・エッグが出演。
<参考文献:小学館文庫>
『一口メモ』
絶筆の一つとなった「グリンゴ」にいたるビッグコミック連載作第一弾。
『図版使用書籍』
手塚治虫マンガ漫画館(1977年)
アサヒグラフ4月29日号(1977年)
手塚治虫漫画40年(1984年)
ビッグコミック3月10日号(1989年)
手塚治虫の軌跡(1992年)
手塚治虫論(1992年)
こころにアトム(1995年)
手塚治虫大全(1997年)
手塚治虫博物館(1998年)
手塚治虫全史(1998年)
神様手塚を読む(1999年)
手塚治虫記念館(第5刷)(2003年)
ROCKIN'ON JAPAN4月19日増刊号 SIGHT(2003年)
僕らの愛した手塚治虫(2006年)
上を下へのジレッタ<完全版>(2008年)
芸術新潮2008年11月号(2008年)
クラシック音楽館(2008年)
僕らの愛した手塚治虫2(2008年)
手塚治虫美女画集(2014年)
僕らが愛した手塚治虫<復活編>(2016年)
手塚治虫の世界(2017年)
扉絵原画コレクション1950-1970(2017年)
手塚治虫語辞典(2023年)
手塚治虫キャラクター名鑑(2024年)